鼻づまりの治療について

鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)とは

鼻中隔弯曲症とは、鼻の穴を左右に分ける仕切り(鼻中隔)が大きく歪んで、鼻づまりや鼻血の原因となる病気です。

鼻中隔弯曲症の原因

鼻中隔を構成する鼻中隔軟骨、篩骨正中板(しこつせいちゅうばん)、鋤骨(じょこつ)といった軟骨や骨の成長のスピード、あるいはタイミングのズレなどが原因です。成長の過程で曲がってしまうので、成人になって認められることがほとんどです。

鼻中隔弯曲症の症状

鼻詰まりが代表的ですが、度重なる鼻出血や慢性副鼻腔炎などが起きることもあります。

鼻中隔弯曲症の治療法

鼻中隔湾曲症の治療法

鼻中隔弯曲症の根本的な治療は手術のみです。当院では症状が重度の場合は特に、手術での治療をおすすめしています。

症状が軽いなどの理由で手術を希望しない場合、薬などを用いる対症療法もひとつの選択肢ですが、専門医の定期的な診察を受け、より注意深く状態を見守っていくことが前提となります。鼻中隔弯曲症は骨と軟骨の構造の問題のため、対症療法の効果はあくまでも一時的もので、薬の長期間の使用で症状が悪化することも少なくありません。

対症療法

抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬などを症状に応じて使い、症状を緩和させる保存療法を実施します。鼻腔粘膜の血管を収縮させて、鼻詰まりに強い効果を発揮する点鼻薬ですが、常用により血管が開き、粘膜が厚くなる慢性肥厚性鼻炎(薬剤性鼻炎)を誘発して、かえって症状を悪化させるリスクもあるので慎重に使う必要があります。

耳鼻咽喉科では、コンプレッサーで薬成分が含まれる液体を霧状にし、入り組んだ鼻の奥の隅々まで薬成分を届けるネブライザー療法を受けることもできます。また、アレルギー性鼻炎に効果的な抗炎症薬や抗生物質などの内服薬を処方する場合や、軽い鼻詰まりでは市販の鼻腔拡張テープが効果的な場合もあります。

鼻中隔弯曲症の手術「鼻中隔矯正術」

弯曲した部分の鼻中隔軟骨を切除し、まっすぐな部分だけを残して整復する手術です。

日帰り手術も可能ですが、手術直後はどうしても鼻中隔軟骨の強度が下がっているので、強い衝撃を鼻に受けないよう注意します。帰宅後の安静が必要です。

手術は局所麻酔で行い、鼻の入口から器具を挿入して鼻中隔を切開します。術後は切開した粘膜の修復を促進するため、スポンジを詰めて鼻中隔軟骨を補強します。また、抗菌薬を服用し傷の感染を防ぎます。

この手術は顔面の骨格の成長に悪影響を及ぼす可能性があることから、骨格が完成した16歳以上高校生以上に実施しています。慢性副鼻腔炎を合併しているケースでは、同時にその治療手術も行う場合があります。